漫才・ペットショップ

ブータ(仮)


 トボザン(トボ)とツムタ(ツム)のコンビでお送りします。


トボ「どうも~よろしくおねがいしま~す」


ツム「どうもー」


トボ「バタバタ忙しかったのがあっという間です」


ツム「いやあ、最近少し落ち着いたから新しい命を家(うち)に迎えようと思いまして」


トボ「お? ペットでも飼います?」


ツム「ええ、そうなんですよ」


トボ「なんです? なんですー? この空気ーーー♪」


ツム「なんだよ」


トボ「わかりますよー」


ツム「いや別になんも言ってないから」


トボ「いいんです、いんですよ。 遠慮してても空気読めてますから」


ツム「読めてないから」


トボ「いらっしゃいませー」


ツム「勝手に始まったよ」


トボ「本日はどのような御用件でしょうか」


ツム「ええと、生活落ち着いたのでいい子いたら家(うち)に迎えようかなと思いまして」


トボ「わかりますよ。 家に帰ったときに待っててくれる子がいると生活に張りが増えますよね」


ツム「そうなんですよ」


トボ「どのような子をお探しでしょうか」


ツム「小さいタイプで最近話題のヤマアラシとかいませんかね」


トボ「トゲトゲの可愛い子ならこの子どうでしょうか【両手に乗せたように渡す】」


ツム「【受け取って片手に乗せてもう片方の手の平で針に触る】この針が特徴ですよね~」


トボ「すみません、お客さん。 それ威嚇中のフグでした」


ツム「【手のものを投げ捨てる】フグ!? 危ないなんてレベルじゃないだろ! なんで間違えるんだよ!」


トボ「すみません、手違いです」


ツム「手違いで殺されてたまるか! いいや、この店の目玉の子とかいませんか?」


トボ「目玉の子なら小さいタイプでこのスーちゃんとかどうでしょうか【片手は添えながら渡す】」


ツム「【両手で受け取り目の高さに持っていく】だいぶ小さくて可愛いですね~」


トボ「! お客さん勇気ありますねー」


ツム「え?!」


トボ「その子、大スズメバチですけど」


ツム「【手のものを投げ捨てる】殺す気か! フグといい大スズメバチといい死ぬよ! なんてものを渡してくるんだよ!」


トボ「お客さんが当店の大目玉の子がいないかと仰るので」


ツム「大目玉じゃねえよ! 目玉のペットだよ! 目玉違いだよ! そもそもなんだよ、大目玉の子って」


トボ「いやー、ちょっと僕が発注ミスしちゃいまして、呼んでない子が来ちゃいまして」


ツム「この店のっていうかお前が大目玉食らった話じゃないかよ! フグといい大スズメバチといい素手で持ってくるなよ、バカじゃないのか」


トボ「衝撃な出会いを演出しようかと思いまして」


ツム「思いましてじゃないよ、新たな命との巡り会いが自分の命の危機に巡りあいましたなんて笑いごっちゃっない」


トボ「上手い、もう一杯!」


ツム「そこは不味いだろ! もう一杯じゃないよ、コメント求めなおさないで」


トボ「お客さんが無事で何よりです」


ツム「なによりじゃねーよ! むしろ危なくさせてるのお前だからな。 大スズメバチにスーちゃんなんて名前付けてさー」


トボ「誤ってうちに来た子でも愛着が湧くようにと思いまして」


ツム「来たんじゃなくてお前が呼び寄せたんだろ! なに、迷ってたどり着いたみたいな言い方してんの、もう、いいよ。 他にいないの? 猫とか犬とか危険じゃないの」


トボ「猫ですとこちらになります」


ツム「ケージの中身空だよ?」


トボ「ただいま、近所の縄張りを荒らしに行ってまして」


ツム「ボス猫じゃねえか!」


トボ「いえ、それ以外にも子分の子達も付いて行ってしまってまして」


ツム「なおさらだめじゃんか! ギャング猫置いてるペットショップなんて聞いたことないよ」


トボ「ケージから出せって睨まれると逆らえなくて」


ツム「逆らえなくてじゃないでしょ! ペットの子達の管理はしっかりやってくださいよ! 」


トボ「うちの方針は放任主義なものですから」


ツム「ペットショップが放任主義はなおさら不味いでしょうよ!」


トボ「なんでしたらこの子達が食べていかなかったキャットフードでも食べながら帰ってくるの待ちます?」


ツム「待たないよ! なんでキャットフード食べながら傷だらけになって帰ってくる猫達迎えなきゃいけないんだよ!」


トボ「傷ついてる猫見てると保護欲そそられません?」


ツム「たち悪いよ! そそられないから、心配なるからちゃんと手当てしてあげてよ」


トボ「お客さん、うちの猫より我がままですね」


ツム「我がままじゃないから、当然の反応だから! 猫ももういいよ、犬いないの?」


トボ「犬はこちらになります」


ツム「なにこの犬、寝てるの?」


トボ「あっ!」


ツム「あって何よ」


トボ「すみません、今電池切れてまして」


ツム「電池!? ここペットショップだよね?」


トボ「はい、うちでは区別せず電動犬も置こうと思いまして」


ツム「なんだよ、こういうのじゃないのよ、求めてるのは。 もう帰ろうかな」


トボ「あ、お待ちください」


ツム「なによ」


トボ「ただ今僕が犬になりますから」


ツム「やめろよ! 気持ち悪いな」


トボ「そこをなんとかワン」


ツム「ワンじゃねえよ! バカだろ」


トボ「でしたらこちらのセグウェイでどうでしょう」


ツム「もう生き物どころか動物ですらねえな、もういいよ」