漫才・美容院

ブータ(仮)


 トボザン(トボ)とツムタ(ツム)のコンビでお送りします。



トボ「ブータ(仮)でーーす、よろしくおねがいしまーーす」


ツム「よろしくおねがいします」


トボ「最近困ってることがありまして」


ツム「困ってること?」


トボ「そうです」


ツム「なによ」


トボ「最近僕有名になってきたじゃないですか」


ツム「お前?」


トボ「そうですそうです」


ツム「最近漫才もしてなかったけど」


トボ「有名人イコール僕みたいな、ね」


ツム「勘違い甚だしい! 有名になってもないからな」


トボ「それで見た目少し気を配ろうと思いまして」


ツム「少しじゃなくてだいぶ気を配っていいぞ」


トボ「それにあたって髪を整えてこようかなと」


ツム「身だしなみ整えるのはいいね」


トボ「それで店を選ぶにもちょっと困ってしまって」


ツム「あーなんとなくわかる、けど近場の美容院行くだけ行ってくればいいじゃん」


トボ「そんなそんな僕なんかが行っちゃ迷惑ですよ」


ツム「そんなことないから、向こうも客商売でお客さん来てほしいだろうし」


トボ「いやいや僕なんか用もないのに行ったら、他のお客さんがひそひそ言うだろうから気まずいですし」


ツム「髪切るんだろ?」


トボ「病や怪我もなないのに行こうものなら」


ツム「病院じゃねえよ、美容院だよ、び・よ・う・い・ん」


トボ「よく悪いところ切るって言うじゃないですか」


ツム「外科手術の話だ!」


トボ「探してたら色々出てくるんで本当に迷うんですよ」


ツム「ああ、美容師の人も結構いますし一人一人技術も違いますからね」


トボ「探してたら総合とか書かれて」


ツム「それ総合病院じゃねえかよ! また病院に戻ってるぞ」


トボ「じゃあ、総合じゃないところはどうなんだろうと思っちゃいましてね」


ツム「いい加減、病院から離れろ!」


トボ「なので美容院も総合かどうか名乗るべきではと思いまして」


ツム「なんだよ、その総合美容院って」


トボ「うちは総合なのでしっかりと対応させていただきますねなんて言われたら安心するじゃないですか」


ツム「なんだよ、それ」


トボ「じゃあ、うちは右側美容院なので左側は別のところでお願いしますねとか、いえ、うちは後ろ側美容院なので左側と言われましても前側はお受けできかねますなんて言われましたら不安になりますね」


ツム「なりますねじゃねえよ! そんな中途半端にする美容院なんてないから」


トボ「本当ですか?」


ツム「本当だよ! ちゃんとコースまであって望む対応してもらえるから!」


トボ「美容院行ったら髪洗ってくれるみたいじゃないですか」


ツム「みたいってか洗うね」


トボ「そういうところでずっと時間取られてても困っちゃいますし」


ツム「ずっとはかからないよ」


トボ「商売は水物って言いますから、そうならないようにしっかり水切ってますなんて言われましても」


ツム「そういう意味の水物じゃねえよ! 髪切るより水切ってますなんてバカだろ、そんなとこ」


トボ「けど髪切ってもらのは申し訳なく思うんですよ」


ツム「なんでよ、そんな思うことじゃないだろ」


トボ「僕の髪が美容師さんの鋏に噛み付くんですよ」


ツム「髪が付くんであってお前の髪が食いついてるわけじゃないから」


トボ「で美容師は噛み切るって言うじゃないですか」


ツム「鋏に髪は付いてるけど噛みついてねえし、歯で噛み切るんじゃなくて鋏の刃(は)で切るんだよ!」


トボ「ツムタさん凄いですね」


ツム「なんも凄くねえよ! 何言わせんだよ!」


トボ「やっぱり美容院では目立つカリスマに切ってもらいたいですね」


ツム「それはカリスマ美容師って言いたい? 別の想像してる? カリスマ美容師も一介の人だからな」


トボ「え? ロボットじゃないんですか?」


ツム「んなわけあるか! れっきとした人だよ!」


トボ「よく美容院の写真とかで頭に機械おいてるのあるあれで切ってるのかと思いましたよ」


ツム「あれは加湿とかパーマとかする機械な」


トボ「あれ美容師じゃないんですね」


ツム「違うからな、美容師は専門学校も卒業したしっかりと人だ」


トボ「いやあ、美容院はハイテクだなあと思ってました」


ツム「もしかしたらだいぶ未来ではそんな機械で髪切ることもあるかもだけど」


トボ「ツムタさんほんっとうに詳しいですね」


ツム「お前が知らなすぎなんだよ、表面の話しかしてないわ」


トボ「お陰ほんの少し分かった気がします」


ツム「ほんの少しってなんだよ! しかも気がするって、だいぶ説明しただろ」


トボ「機会があったら行ってきます」


ツム「いいからとりあえず行ってこい!」