漫才・セルフレジ

オニギリパン


 川義(かわよし)と我部(かべ)のコンビでお送りします。



二人「はじめましてー、よろしくお願いしまーす」


川義「いやあ、ついに僕らのデビューですね」


我部「そうですね、ついに来たって感じです、私たちオニギリパンの出番です」


川義「と言っても僕たち某ウイッチさんたちのオマー」


我部「やめろ! そういうことは分かってても言うんじゃない、いいな」


川義「話を戻しまして、最近思うことがあるんですよ」


我部「どうしました?」


川義「最近、セルフレジって結構出てきてますよね」


我部「ええ、出てきてますね」


川義「店によってはそれしかないとかなるわけですよ」


我部「そうですね」


川義「ぶっちゃけ言うと、あれ少々心配なんですよね」


我部「心配? なんで?」


川義「いや、だって間違えて読み込みさせて壊したりしたらいやじゃないですか」


我部「出た」


川義「え?」


我部「出ましたよ、壊したら心配」


川義「なんでですか、心配になりません?」


我部「もちろん、本当に壊したらって心配はあってもおかしくないですけど普通に使って壊れるなら仕方ないですし、なにより普通に使って壊れるなんてそうそうないですから」


川義「本当ですか?」


我部「本当だよ」


川義「嘘じゃない?」


我部「嘘じゃない!」


川義「じっちゃんの名にかけて?」


我部「何言ってんだよ!」


川義「じゃあ、僕がちょっとセルフレジ使うので、それ見て大丈夫そうか判断してもらえたら安心して使うようにします」


我部「おう、いいよ、いいよ」


川義「ウィーン、さてと、今日はあいつの為に何買ってってやろうかな」


我部「レジやれよ! なんでそんなとこからやってんだよ」


川義「いや、やっぱりレジに辿りつくまでの壮大なストーリーは必要かなと」


我部「必要あるか! いいから普通に買う商品まとめた後のレジ使うとこからやれ」


川義「わかったよ、じゃあやるよ」


我部「おう」


川義「さーて、今日もたくさん買っちゃおうかなあ、レジレジと、これだな」


我部「そうそう」


川義「よし、ピッ、あれ? ピッ、おかしいな」


我部「どうされました?」


川義「いや、こいつがさっきから金額表示しないんですよ」


我部「お客さん、商品のバーコードを読み込ませてもらえます?」


川義「いえ、商品ないです」


我部「表示するか! 商品ないなら何も出るわけないだろ! さっきのピッはなんだったんだよ」


川義「何もないのも寂しいので動きに合わせて口で言ってました」


我部「紛らわしいな、やめろよ! ちゃんと商品を通してください」


川義「はい」


我部「お願いしますよ」


川義「さあて、今日もたくさん買っちゃおうかなあ」


我部「そこからなんだ」


川義「ピッ、なんだとー?! どういうことだ!」


我部「ちょ、ちょっとお客さんどうされました?」


川義「いや、こいつがですね」


我部「はい、店のレジがどうしました?」


川義「僕を読み込んだらメタボだって表示してきたんですよ!」


我部「いや、ないから! 何メタボって、お前身体にバーコードでも貼ってるの?」


川義「ちょっとバーコードのタトゥーを腕にしてまして、ってそんなことよりメタボってどういうことですか!」


我部「バーコードのタトゥーなんて変なもの刻んでんじゃないよ」


川義「メタボですけど、せめて脂肪が多いとか内臓脂肪おおめにしてくださいよ」


我部「そっちかよ! 変なクレームすんな」


川義「クリーム好きです、毎時食べてます」


我部「ダジャレじゃねえか! 毎時ってだからメタボになるんだよ!」


川義「ほんとしょうがいないですね、セルフレジは」


我部「しょうがいないのはお前だから! 頼むから有人のレジのように普通にお願い」


川義「体型だけはどっしり構えているのに本当わがままなレジだな、君は!」


我部「俺はレジじゃねえよ」


川義「ことあるごとにピッピッピッピッ言っちゃってさあ!」


我部「合ってるから、レジなら商品読み込んでるんだから何も間違ってないから」


川義「はっ! 人間の方でしたか」


我部「方ってなんだよ! 最初から人間だよ」


川義「随分大型なレジを置いているなあと思いまして」


我部「人をレジにするんじゃないよ! ちゃんとやって」


川義「はい」


我部「頼むよ」


川義「さあて、この商品買うかな、ん? なんだって? おいどういことだ! レジ!」


我部「ちょ、ちょっとレジ相手に何してんの?」


川義「ちょっとレジに商品の説明を求めようかと」


我部「レジが説明なんかするか! お前普段からどんな買い物してんの?」


川義「いやあ、この商品はよくないんじゃないかって店員捕まえて説教もしてます」


我部「さっきからただの迷惑な客じゃねえか! それモンスターカスタマーってやつだから二度としないで」


川義「暮らし辛い世の中になっていきますね」


我部「お前が原因の一つだよ!」


川義「どうでした? 僕でもセルフレジ普通に使えそうですかね」


我部「んなわけあるか! どこをどう見たら安心して見てられると思ってんの?」


川義「機械相手でも対等の会話を求めます」


我部「バカだろ! お前みたいなのは買い物代行にでも頼めよ」


川義「あ、じゃあ僕代行で買い物してきます」


我部「やめろ、もういいよ」