漫才・怖い話

右から佐藤、鈴木、入海


 トリオ漫才その2!

 ネタが季節物なので、とりあえずアップを優先

 本当はもっと早く出すところだったけれど、最後まで難産のまま至りし不覚…


 中心のマイク前に鈴木、向って左に佐藤、向って右に入海の立ち位置でお送りします


佐藤「どうもー」


鈴木「右から佐藤、鈴木、入海(いるみ)です」


入海「よろしくお願いします」


三人「よろしくお願いしまあす」


佐藤「夏ですね、暑くなってきました」


鈴木「そうですね」


入海「暑い夏と言えば怖い話いいですよね」


鈴木「お、いいですね、僕好きです、いい話ありますよ」


佐藤「本当ですか!? ぜひ一山当てさせてください!」


鈴木「儲け話と違う!」


入海「昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました、おじいさんとおばあさんは」


鈴木「それただの童話だね、勝手に始めないでくれる」


佐藤「おじいさんとおばあさんは? なに? どうしたの?」


鈴木「やめろってホラーと違う話になるから聞くな」


入海「おじいさんとおばあさんはまさかり担いで鬼退治に行きました」


鈴木「色々混ざってるしおじいさんとおばあさんがアクティブすぎる」


佐藤「お年寄りまで武器持つなんて怖い世の中だね」


鈴木「怖いの意味が違う、ホラーでしょ、怪談話」


入海「では鈴木さんによる怖い話です、どうぞー」


鈴木「やりにくいな、えー、草木も眠る丑三つ時」


佐藤「あのーすんません、今令和なんでちょっと何時かしっかり言ってもらっていいですか?」


鈴木「令和関係ない! 丑三つ時っていうのはみんなが寝静まってる真夜中のこと」


入海「夜中でも牛三頭もいればモーモーうるさくて怖いもなにもあったもんじゃない」


鈴木「リアルの牛三つがいる時じゃないから!」


佐藤「じゃあ僕がちょっと言いますね」


鈴木「俺まだ話し始めたばっかなのに」


入海「では佐藤さんによる怖い話です、どうぞー」


鈴木「お前いつから進行役始めたんだよ」


佐藤「いーちだーん、にいだーん、さーんだーん、よーんだーん」


鈴木「うんうん」


入海「ごおだーん」


鈴木「お前は乗るな」


佐藤「そこには段差がないのに段差を数える女性の姿が!」


鈴木「四谷怪談のパクリじゃないか!」


入海「怪談なのに段差がないなんて怖いですね」


鈴木「上手くないわ! なにが階段の怪談だ! ったく」


佐藤「わかりました、聞きましょ聞きましょ」


鈴木「この前、夜遅い時間になってしまったんですが家に向かって歩いてたんですよ、そしたらですね、うすぼんやりと光ってる存在に気づきまして」


入海「煌々と輝く自販機に群がる数多くの蛾」


鈴木「辺りには人の気配なんて丸でなかったんですけど、後ろに何かの気配がして振り向いたらそこには」


佐藤「湿気でぐっしょりと濡れたカビだらけのパン」


鈴木「お前らさっきからなんなんだよ! 怖い話しているのに見てていやになるものの話になってるだろ」


入海「まあまあ、そんなに怖い顔しなくても」


鈴木「顔じゃなくて話」


佐藤「そうだよな、で、何の話だっけ?」


鈴木「怖(こわ)い話!」


入海「ちょっと服脱いで走り回ろうかな」


鈴木「それは卑猥(ひわい)」


佐藤「薄くぼんやりとしてあっさりな感じで」


鈴木「それは淡(あわ)い」


入海「おめでとー! 今日普通の日だけど」


鈴木「それは祝(いわ)い! いい加減にしろ!」


佐藤「ホワイ?」


鈴木「英語で言うな!」


入海「普通の話だけどさ、最近家カメラあるからそれ付けて遊んでたら笑っちゃったんだよ」


鈴木「また話逸れる」


佐藤「なになに?」


鈴木「どうせ、家のペットが粗相しちゃったとかだろ」


入海「うちペット飼ってないのに何かがちょー動き回っててすんげーウケんの、大笑いしちゃったよ」


鈴木「思いっきり怖い話じゃないかよ! なんで笑ってんだよ」


佐藤「不思議なこともあるもんだなー」


鈴木「ホラーだろ! 誰もいないところに写ってるなんて」


入海「なんか犬っぽかったんだけど、顔は崩れたような人の顔しててブッサイクだったんだよ」


鈴木「人面犬でガチのやつじゃん」


佐藤「凄いな、俺なんかあっても耳まで覆うくらいのマスクしている綺麗な女性に道聞かれて浮かれてたくらいだよ」


鈴木「おい、まさかそれ都市伝説のあれじゃないか?」


入海「その人顔小さいのに間違って大きいマスク買っちゃった残念な人だね」


鈴木「茶々入れんな!」


佐藤「”私綺麗?”なんて聞かれるから思わず、君の瞳に乾杯って言っちゃったね」


鈴木「キモイよ、酒すら持ってないだろ」


入海「そこは肩抱いてそのままホテルだろ」


鈴木「ゲスかよ」


佐藤「恥ずかしがっちゃったのか、少し後ずさりしてたけど押せたね」


鈴木「押せてないから! それドン引きしてんだよ、お前が不審者じゃないか」


入海「怖い話なんてそうそうないよな」


鈴木「そんな身も蓋もない」


佐藤「そりゃあ、怖い話のお化けに身はないよ」


鈴木「上手いこと言うな!」


入海「誰もできないのに誰だよ怖い話しようなんて言い出したの」


鈴木「お前だ!」




三人「【お辞儀して】どうもありがとうございました」