星纏大征 アストラオー

-- vis novus --

第二十一話 端境期


 ちょっとだけ早見せ



 今までのあらすじ……ざっくりと。

 突如襲われるトオジら人類。

 颯爽と現れた機体に乗り込んだトオジはやけくそだとばかりに襲撃集団を撃破。

 後日、全く同じ場所で襲撃団に襲われるトオジ。

 またも忽然と姿を現した機体アストラオーに乗り込んだトオジは破れかぶれとド派手に撃破。

 元からアストラオーに搭乗していたアルマの説得に応じて行動を共にすることになったトオジ。

 最初のステップはアクティノールと呼ぶ機体に乗っての操縦訓練だった。

 そこに新たな傭兵集団プレアデスを相手に、次なるステップとする模擬戦を開始。

 プレアデスに語った目的、それにトオジと別れたアストラオーとアルマは何をしているのか。

 彼らの行く道はどうなるのか、どこへ向かうのか?!

 震えずに待て!


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 日本、総理官邸執務室。

 ここ数日、同じ用件でいつもより顔を合わせることが多くなったゼン、デン、藍といつもの三人が机を囲うソファに座り、話し込んでいる。

 「No(ナンバー)プロジェクトの消失事件ですが、私の方でも読み返しました」

 ゼンは以前、騒動をも持ち込んできた見来結唯(ケンキユイ)に齎された情報について言及する。

 「消失した機体がAST001-2、そして呼称アストラオーの出所となる調書が凱(カチド)氏から出てきた点を勘案すると、少々できすぎているのですが……」

 藍はすべきではないと分かりつつも推測を述べたくなる気持ちを素直に吐露する。

 「そうですね、今は推測で物事を決めてはいけないでしょう、ですが心には留め置きます」

 三人としては当然と言えば、当然。明確な証拠もなしに決めつけができない立場に長年いるからこそ安易な結論付けはしない。

 またアルマから特定人物を明かされたことにより、特定人物こと凱十字路(カチドトオジロウ)の情報もかき集め、その中に襲撃事件における調書からトオジの分が引っ張り出され、今に至る。

 三人の話し合いが続く中、室外から入室を確認するノックがなされる。

 「総理、凱(カチド)氏の連絡先からアルマと名乗る方の連絡が入りました」

 入室した人物もいつもの男性であり、男性が持ち込んだ情報は再度の接触となる貴重な機会が来たことを告げる内容だった。不意の知らせを聞いたゼンは、すかさず己の下へ回すように伝える。報告に来た者は了承の意を示すと同時に踵を返す。

 執務室の端末に先程依頼した転送のコール音が響く。